柏崎のおいしいお米をより多くの人に知ってもらいたい

同年代の若手農業従事者と刺激を与え合いながらの米作り


株式会社田村農産

春日 知代(かすが ともよ)さん

鯖石川の豊富な水で育てた、10種類のお米を中心に野菜も栽培する田村農産で、野菜の収穫や出荷、広報も担当している。参考:株式会社田村農産Facebook


■自分で育てたお米は、おいしさとうれしさが共存

田村農産はもともと兼業農家が始まりだと伺いました

現会長の実家は代々兼業農家でした。時代が進むに連れ、周囲の農家さんは高齢化などをきっかけに米作りをやめてしまう人が徐々に増えていたそうです。その都度、会長の家では空いた田んぼを引き受け、少しずつ規模を拡大。中越沖地震で地域の離農者が増加したことをきっかけに専業農家となりました。

その後、農業経営の発展と事業継承のため、令和3(2021)年に法人化し、株式会社田村農産を創立。今では50ヘクタールの田んぼを役員3人、従業員2人で管理しています。野菜も育てていますが、基本はお米。10種類の品種を栽培し、生産量は年間で250トンです。


春日さんはどうして田村農産に就職しようと思ったのですか?

私は柏崎で生まれ育ちました。祖父が兼業農家だったので、幼いころから田植えの手伝いや庭の野菜の栽培を手伝っていたため、農業が近い存在にありました。食べることも大好きだったので、農業をやりたいと思うようになり、平成25(2013)年の4月から田村農産に務めています。


■自分が作ったお米のおいしさに感動

お米を育てる難しさはどのようなところですか?

毎日観察して、稲の変色など、少しでもおかしなところがあったら、すぐに対応しなければいけないところですね。弊社では1人10ヘクタールを管理するのがルールとなっています。入社当時、社長から「とにかく毎日、稲をよく見なさい」と口酸っぱく言われました。その教え通り、今でも毎日、稲の変化に気を配りながら、田んぼを回っています。


ご自分で育てたお米を最初に食べたときのことを覚えていますか?

はい、覚えています。新米や野菜を自宅に持ち帰り、食べたときはおいしさと一緒に、自分が育てたといううれしさがこみ上げてきました。

特に入社して2、3年のころは、いろいろな品種のお米を食べ比べて、その特徴を覚えることをしていたので、毎回感動。お米そのものを食べるのももちろんいいのですが、卵かけご飯にするとより一層、お米のうま味が引き立つと思います。もし、食べ比べる機会があったら、皆さんにも試していただきたいですね。


■米作りへのモチベーションを上げる認証米と仲間の存在

柏崎市の認証米・米山プリンセスについて教えてください

柏崎産コシヒカリを対象に、おいしく安全な米作りを目指し、市が定めた厳しい基準をクリアした認証米を「米山プリンセス」と認証する、平成30(2018)年から始まった取り組みです。


認証を受けるのは難しいのですか?

非常に難しいですね。前提として、米山プリンセスの認証を受けるには、大粒の一等米である必要があります。そのため、ある程度の肥料を与えなければならないですが、与えすぎてしまうと食味値が基準を下回ってしまう。この条件を同時にクリアさせるのが、非常に難しいんです。弊社では、この条件をクリアするために、米山プリンセス専用の土壌を作りました。その上で、ひと株にいく栄養を高めるために植え付け株数を通常よりも少なくしました。その結果、令和元(2019)・令和3(2021)年には米山プリンセスの認証を受けることができました。


地元のブランド米をつくるというのは農家さんにとってどのようなモチベーションにつながるのですか?

自分たちが育てたお米が認められる機会というのは早々あるものではありません。ですから、実際に認定されると、自分たちの取り組み方が評価されたということにつながり、翌年の米作りの大きな励みになります。

令和元(2019)年に弊社で育てたお米が米山プリンセスの認証を受けた際、地元の保育園・幼稚園の卒園記念にお米をプレゼントしました。そうしたところ、お礼のお手紙をいただき、大変感動したのを今でも覚えています。


周りの農家さんとのつながりはありますか?

はい、あります。若手農業者の集まる会があり、そちらに参加しています。コロナ禍で、全員で顔を合わせて、というのはほとんどできていません。しかし、同世代の若い農業従事者がいるということ自体が刺激になりますし、SNSなどでそれぞれが実践している独自の育て方を知ることで、自分も新しいアプローチを試してみようとチャレンジする気持ちも生まれています。

今後はもっとさまざまな交流をして、お互いに刺激を与えながら、柏崎の農業、米作りをより多くの人に知っていただけるよう、努力していきたいですね。