病院を支える縁の下の力持ちー「クラークの世界」

病院勤務医の負担を軽減する目的として国が平成20(2008)年から導入した新しい職種の「クラーク」。新潟県厚生農業協同組合連合会柏崎総合医療センター(以下、「柏崎総合医療センター」)でも平成22(2010)年に医療クラーク室が設置されました。

今回取材を行ったのは、柏崎総合医療センターでクラークとして働く、杉谷さんと山田さんです。

クラークの仕事内容、数ある医療職種の中でクラークを選んだ理由、柏崎での暮らしぶりなどをインタビューしました(取材:令和3(2021)年12月)。

interviewees profile

杉谷 陽(すぎや ひなた)さん 写真左

柏崎市出身・在住。

専門学校(2年制)を卒業後、柏崎総合医療センターの病棟のクラークとして勤務。


山田 佳奈(やまだ かな)さん 写真右

柏崎市出身・在住。

専門学校(2年制)を卒業後、柏崎総合医療センターの内科外来のクラークとして勤務。


※杉谷さん、山田さんは専門学校の同級生。



2人の勤務先、柏崎総合医療センターってどんな病院

柏崎市北半田に立地する市内最大の診療科・病床数をもつ基幹病院。

柏崎・刈羽地域の救急医療も担う。


参考:柏崎総合医療センターHP






クラークの仕事とは?

仕事は資格や経験がなくてもできる

ー主な仕事内容は?

杉谷:私は病棟の担当なので、診断書や入院患者さんの医療文書の作成、医師が使用する症例登録などのデータベースの登録や管理を行っています。

山田:私は内科外来や透析室業務を担当しています。書類作成や外来の診療サポートとして医師について診療の準備をします。


ークラークの呼び名はさまざま?

杉谷:そうですね。地域や病院によって違います。医療クラーク、メディカルクラーク、医師事務作業補助員と呼ばれています。当院ではクラークと呼ばれています。


ー資格は必要? 仕事に関連する資格を持っている?

山田:必要ありません。資格がない人でもできる職業です。

杉谷:私と山田さんは同じ専門学校に通っていて、専門学校で医師事務作業補助技能認定試験を受け、資格を取得しました。


ー仕事内容は配属先で異なる? 

杉谷:内科、外科、産婦人科、整形外科、脳神経外科、眼科など診療科によって業務内容は異なります。令和3(2021)年から耳鼻咽喉科にも新しくクラークが配置されました。

1人のクラークが配属されている科は1人で書類作成も外来診療も行います。2~3人のクラークが配属されている科は、担当の書類作成をしたり、診療補助を交代したりしています。


ー外来と病棟のクラークの大きな違いは?

杉谷:私は病棟なので、朝の回診の際、医師について回ります。整形外科は、創部の確認が多いため、パソコンで状況を入力します。回診後の主な業務は書類作成です。入院患者さんの情報を覚えていないと医師に伝えられないため、書類作成をしながら覚えています。

山田:外来のクラークは、医師の診療補助や検査データをまとめています。

杉谷:病棟はあまり患者さんと関わらないのですが、外来は結構関わる機会が多いです。

山田:外来は次回の診察日を説明したり、検査があったら、次の移動場所へ案内したりと患者さんと接する場面があります。


ー英語能力は必要?

山田:医師が略語で記入したとき、日本語訳が分からないときはありますが、調べてメモをしています。分からないときは医師に直接聞きます。


ークラークの特徴は?

杉谷:医師の補助ができる点です。書類作成、オーダリングシステム(※1)で、医師の代わりに代行入力する業務を行います。

(※1)オーダリングシステム:医師が看護師や薬剤師など医療技術職に対して行う指示内容を直接コンピューターに入力して正確かつ迅速に各部門へ伝達するシステム

山田:医師の診療サポートにつく中で、実際に担当している科の病気や処方、薬の内容などを詳しく知ることができる点がクラークの特徴だと思います。


ー詳しく知ることができるということは、学ばなければいけないこともたくさんある?

山田:知らないことがあったらメモを取って家で調べたり、病院にある略語集を見て調べたり、毎日学んでいます。

杉谷:医師が優しく、聞けば教えてくれるので、聞きながら学んでいます。



クラークになるまで

クラークになることで、医師の負担を減らしたい

ークラークという職業をいつ知った?

杉谷山田:専門学校のときです。


ー医療系に進もうと思ったのはいつ頃?

山田:私の通っていた高校は、2年生から科目選択を行います。自分には事務が合っているかなと思い、その中で医療事務を見つけて、医療系に進もうと思いました。


ークラークを目指した経緯は?

山田:専門学校1年生のときにクラークについて学ぶ機会があり、クラークを目指しました。

杉谷:小さいころから柏崎総合医療センターで働きたいと思い、小・中・高校と職場体験に来ていました。もともと医療事務の資格を取るために医療事務の専門学校へ進学しましたが、そこでクラークという職業を知りました。

クラークの仕事を学んでいく中で、書類作成などが好きで、自分に向いていると思いました。なので、書類作成などをしながら医師を補助するクラークの仕事がいいなと思い、クラークを目指しました。


ーなぜ、小さいときから柏崎総合医療センターで働きたいと思った?

杉谷:5歳の時に弟が柏崎総合医療センターで産まれました。その頃から、子どもながらに病院みたいな大きい建物の中で働く人って、かっこいい!と思ったのがきっかけです。


ー看護師など、他の職種と迷ったことはなかった?

杉谷:いろいろな職種を見て調べて、最終的に自分に向いていると思ったクラークを目指しました。

山田:専門学校の授業で医師事務という職業を知り、そこから興味を持っていろいろなことを調べてみました。その中でも、医師の負担が大きいということを授業やニュースで聞き、医師の書類作成や診療補助ができる仕事に就いたら少しでも医師の負担を減らすことができるのではないかと考え目指しました。



勤務先のお話

スタッフは全員女性

ー柏崎総合医療センター内のクラークは何人?

山田:設置当初はスタッフ4人でしたが、現在は22人のスタッフがいます(令和3(2021)年12月)。


ー男性と女性の割合は?

山田:今は、全員女性です。


ー職員さん間の雰囲気は?

杉谷:すごくいい雰囲気です。先輩方がとても優しいので分からないこともすぐに聞けます。

山田:仕事が終わったあとは、仕事以外の話を楽しくしています。優しい先輩方ばかりです。


ー柏崎総合医療センターに務めて何年?

山田:私も杉谷さんも柏崎総合医療センターが初めての勤務先で、今年で2年目です。


ー柏崎総合医療センターの魅力は?

杉谷:当院は急性期病棟だけでなく、回復期リハビリテーションや地域包括があるため、患者さんに合わせたリハビリが行えます。ケースワーカーがいるため退院先の生活まで支援できることが特徴だと思います。

山田:回復期のリハビリテーションがあることで、病院を移すことがなく最後までリハビリができるところが魅力だと思います。


ー柏崎総合医療センターの広報誌「つながる」で、32時間の新人研修を行っているとありますが、どんな内容?

山田:オーダーの仕方、電子カルテの使い方、書類作成のおおまかな内容、どこを見て書くかなどを学びました。 杉谷:他の科の先輩クラークに付いて回るということもしました。


ー勤務日は?

杉谷:月~金曜です。土・日曜、祝日はお休みです。


ー残業はある?

山田:状況によってありますが基本的にはありません。


ー異動はある?

杉谷:担当する科の異動はあります。


ー白衣を着ていると、医師に間違われる?

杉谷:病棟だと何回かありますね(笑)

山田:私も何回か看護師さんと呼び止められたことがあります。

※令和4(2022)年4月以降、ユニフォームを白衣から変更予定。


ー患者さんから話しかけられることも多い?

山田:医師の診察後、医師に聞くのを忘れてしまったので聞いてくださいますか?と話しかけられることはありますね。



柏崎での生活のお話

季節ごとに楽しむ

二人とも柏崎市出身ということですが、住まいもずっと柏崎市?

山田:専門学校は市外でしたが、柏崎市から通っていたため住まいはずっと柏崎市です。

杉谷:私も同じです。


ソフィアセンター

ー柏崎市での休日の楽しみ方は?

杉谷:2週間に1回はソフィアセンターに行って本を借りたり、読書をしたりしています。友達とお店巡りもしています。犬の散歩で海辺にも行きます。


ーソフィアセンターに行くのは、勉強で?趣味で?

杉谷:趣味です。仕事とは関係ない本を読むことが多いです。コロナ禍前は展示会もよくやっていたので楽しみの一つでした。


ーどんなジャンルの本を読むの? 

杉谷:小説です。本屋大賞をとった作品や英語の絵本を読みます。本屋大賞をとった作品は人気なので借りられないこともあります(笑)。


ーお店巡りは、どこのお店に行くの?

杉谷:最近、山田さんとハコニワに行きました。

山田:室内がとてもきれいで、いろいろなお店があって楽しかったです。


ー山田さんは?

山田:休日は買い物に出掛けます。春はお花見に赤坂山公園に出掛けたり、夏は海に行ったり、秋は松雲山荘の紅葉を見ながら写真を撮ったりと、季節ごとに楽しんでいます。

赤坂山公園                松雲山荘


ーお2人とも海に行かれるということでしたが、見る方?泳ぐ方?

山田:見る方です。小学校のときは毎年泳ぎに行っていましたが、だんだんと見る派に(笑)。



進路選択のアドバイス

実際に見学に行こう

ークラークのやりがい・魅力は?

山田:医師や看護師など、多くの職種の人と関わる中、依頼されたことに対して、求められたものに応えられたときにやりがいを感じています。

杉谷:医師から書類作成や症例登録などさまざまな依頼がありますが、医師からありがとうと声を掛けてもらうことでやりがいを感じ、もっと頑張ろうと思います。


ークラークの仕事はどのような人が向いている?

杉谷:病気のことをよく知らないといけないので、毎日勉強するような意欲のある人が向いていると思います。

山田:患者さんを含め、他の職種の方など、多くの人と関わるので、自分から話しかけに行ける人が向いていると思います。


ー最初からコミュニケーションを積極的にとれた?

杉谷:最初はできませんでした。

医師、看護師、ケースワーカーなどの他職種の方は、優しく話しかけやすいので、コミュニケーションも段々とれるようになっていきました。コミュニケーションに苦手意識のある人でも目指してほしいです。


ー進路に迷っている学生や保護者に対してのメッセージを

杉谷:病院にはいろいろな職業があるので一度見学に行ってみた方がいいと思います。

中学生の時、総合医療センターで看護師の職場体験をしたことが強く印象に残っています。

山田:医療系の進路に進もうかなということは決めていましたが、その先が私も悩みました。今はインターネットなどさまざまなところに情報があるため、少しでも興味を持ったことについてとことん調べることが大事だと思います。