水球ができる環境に感謝して、結果を残すことで恩返しをしたい
躍動する人case1
ブルボンウォーターポロクラブ柏崎 ゴールキーパー
棚村 克行さん
ブルボンウォーターポロクラブ柏崎(ブルボンKZ)・水球日本代表の守護神として活躍中。水球の男子日本代表として、32年ぶりにリオデジャネイロオリンピック出場を果たした。令和3(2021)年に延期となった東京2020オリンピックへの出場が期待されている。
■柏崎と水球とオリンピック
東京2020オリンピックが延期になって、心境はいかがですか
ゴールキーパーは寿命が長いので、僕自身はまだまだ続けようと思っているし、まだまだ成長段階だと思っているので、一年延びたことはさらに成長できるチャンスと捉えています。
柏崎での水球競技環境はいかがですか
チームが結成されて3年目から所属していましたが、柏崎に来たのは、リオのオリンピックが決まったときからです。青栁さん(※1)の活動で水球の輪が広がってきたところに、僕らが入ったという感じです。マイナースポーツなので、これまでは社会人が続けられる環境がなかったのですが、それをつくっていただいたという感じですね。自分より年上の選手たちが志半ばというか、まだまだできるのに辞めていく姿を見てきた身としてはうれしかったです。
柏崎では市民の応援はもちろんですが、まちとして水球をプッシュして、水球をいい意味で使ってくれていることがありがたいと思っています。僕らもそれに応えられるように結果を残さないといけないなと思いますね。市内の小・中学生で水球を知らない子はいないんじゃないですか。それくらい水球の認知度が高いのはすごいことだと思います。
(※1)青栁勧さん:ブルボンウォーターポロクラブ柏崎の総監督。平成21(2009)年まで水球プロ選手としてスペイン・イタリア・モンテネグロで活躍。その後、新潟産業大学教員に着任。平成22(2010)年、株式会社ブルボンの協賛により、ブルボンウォーターポロクラブ柏崎を結成。監督を務めながら選手としても活動した。
市民の皆さんの応援も身近なんですね
僕らがよく行く飲食店などで「がんばって」と言われるのは本当にうれしいです。僕は東京育ちなんですが、東京でやっていたときなんて、自分の周りで応援してくれるのは家族くらいでしたね。今朝も海へ行ったら浜辺でキス釣りをしているおじさんに「水球やってる人でしょ」って言われました。そういうの結構うれしいです、やっぱり。
コロナ禍で練習も思うようにできないのですが、逆にこの機会だからこそできることもある。実は、こんなに長く柏崎にいられたことってないんですよ。遠征や試合で海外に行くことが多かったので、柏崎での生活が新鮮です。釣りや、海での遊びをようやくマスターしてきたところです。
■水球で未来をつなぐ
コーチとして指導する立場でもいらっしゃいますね
僕は大学を卒業後、岐阜に行きました。そのとき、教えていた中・高校生だった子たちが、今チームに3人加入してくれています。教えることで気付くことも多くて、今まで意識せずにやっていたことも、指導するときに自分の中で整理して感じることができるので、そういう意味でもプラスになりますね。
柏崎の環境のおかげで僕らは水球ができているので、何か地域に貢献できることはないかなと考えたときに、やっぱりひとつは結果を残す、活躍するということ。もうひとつは若い世代の子たちに、僕がやってきたことを伝えることが恩返しというか、地域に貢献するという形になればと思っています。
リオデジャネイロオリンピックへの出場はどんな経験でしたか
日本の水球自体が、30数年間オリンピックから遠のいていました。ロンドンオリンピックの予選のときは僕も控えのゴールキーパーでメンバー入りしていたのですが、その時勝てなかったメンバーの悔しさを見ているので、リオはすごく価値があるものだと感じました。リオのときは代表の平均年齢がぐっと上がったんです。それまでは学生かベテランしかいなかったのですが、25,26歳くらいのいい時期の人が集まって迎えることができたのがリオだった。それはロンドンの後に青柳さんがこのチームを作って、㈱ブルボンをはじめとする多くの企業や市民の皆さん、柏崎市が力を貸してくれて、社会人の僕たちが水球を続けられる環境を作ってくれたから。このチームがなかったら、僕たちはリオまで選手を続けていられなかった可能性も高いです。リオのときは出場が目標だったので、東京はやっぱりメダルが目標になりますね。
昔から私は、強いチームにいたことがあまりなかった。でもそのおかげで強くなれたと思っています。ブルボンのチームは、皆さんは強いと思っていると思いますが、実は日本代表が3人しかいない。ライバルの全日体大というチームはスターティングメンバー全員日本代表なんですよ。でも、そういう環境にいる方が自分は高い意識でやれるし、それによってモチベーションを持ち続けていられるのだと思いますね。
長期での目標はありますか
あまり長い目標は立てません。目の前のことを一生懸命やる、というタイプなんですが、少し先の目標で言ったら、今関わっている子たちが日本代表になってくれたら、すごくうれしいですね。
水球は球技のスピード感と格闘技のような要素の両方を楽しめる競技です。柏崎でもいろいろな大会をやっているので、ぜひ、来ていただいて、水球のファンになってもらえたらうれしいです。
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